週刊ほーむぷらざトップへ   バックナンバー
 
アンサンブル・コンサート
 
 
個々の楽器の音色を満喫
 
 なんとなく敷居の高さを感じてしまうクラシック音楽。それを親しみやすく、気軽に楽しんでもらおうと、工夫をこらした演奏会も増えている。中でも、宜野座村文化センター・がらまんホールで毎月開催されている「大人の音楽会」は、コーヒーやワインを片手に、アンサンブル・コンサートが間近に楽しめるとあって人気だ。同音楽会を企画する、がらまんホール管理責任者の小越友也さんに、アンサンブル・コンサートの楽しみ方を教えてもらった。
取材/堀 基子(ライター)
 
 
演奏会場はホールのロビー。軽食やドリンクとともにステキな音楽が楽しめるアットホームスタイルの「大人の音楽会」。ステージは客席とほぼ高さが変わらず、手を伸ばせば届くほどの距離。情感豊かな生演奏に間近で触れると、演奏者やクラシック音楽がより身近なものに感じられるはず=6月18日、がらまんホール(宜野座村)
 
間近に楽しむ 生音の臨場感
 
 アンサンブルとは、2人以上の少人数の演奏者による合奏や合唱のこと。降り注ぐ音に圧倒されるような大編成のオーケストラや、一人の演奏家の個性を堪能するソロ・コンサートも素晴らしいが、アンサンブルではピアノやバイオリン、フルートなど、個々の楽器の音色やハーモニーを存分に満喫できるのが魅力だ。
 とはいえ、クラシック初心者にとってホールでのコンサートは、マナーや服装、予備知識がないことなどが気になって緊張してしまうもの。「大人の音楽会では、飲食ができるロビーを演奏会場にした結果、アットホームな雰囲気が生まれ、演奏者と聴衆の距離もグッと近くなりました。演奏を目の前で楽しめる、ライブハウス感覚を大切にしたい」と小越さん。リピーターも多く、宜野座村近郊はもとより、本部町やうるま市、宜野湾市など、本島各地から聴衆が足を運ぶ。
◇    ◇    ◇    ◇    ◇    ◇    ◇    ◇
 取材の日は、菅沼安佐代さんのアイリッシュ・ハープと玉那覇功さんのフルートによる二重奏。ステージはフルートの息づかいさえ聞き分けられるほどの近さ。「フルートは指の動きや吹き方に特徴があるので、間近で演奏が見られるときは、それも楽しんでほしい」と、玉那覇さんは語った。
 コンサートのテーマは「妖精たちの物語」。第1部では、スコットランド民謡「アニーローリー」、ドイツ民謡「眠りの精」、ドイツ歌曲「ローレライ」など、妖精にちなんだ世界各地の曲が演奏された。膝の上で抱えられるほどのアイリッシュ・ハープは、小さな姿からは想像もつかないほど豊かな音量で、聴く人の心を癒やす愛らしい音色を奏でる。菅沼さんは「天国から響いてくるような音色が好き」と魅力を話す。
 映画「タイタニック」のダンスシーンで使われた「ジョン・ライアンズ・ポルカ」などのアイリッシュ音楽では、玉那覇さんがアイリッシュ・ホイッスルに持ち替えて演奏。思わずステップを踏みたくなるような軽やかな音色に、会場は楽しいムードに包まれた。
 第2部では、沖縄ゆかりの楽曲を特集。1曲目の「笛」では、アイリッシュ・ハープは和楽器の箏(こと)に、フルートは邦楽の横笛の音色に聞こえる演奏で、聴衆は一瞬にして心を奪われた。「月桃」、「さとうきび畑」と続き、最後の曲「花〜すべての人の心に花を〜」が終わった後も誰一人席を立たず、心からの拍手を送り続け、アンコールの演奏でコンサートは終了した。
 
気になる楽器や楽曲を手始めに
 
 沖縄市から来た池原秀幸さんは、「子どもが吹奏楽部に入った影響で、クラシックが身近になりました。この音楽会のカジュアルな雰囲気が大好きで、今夜で4回目。夫婦で楽しみに通っています」と語る。「なかなか聞ける機会のないアイリッシュ・ハープの生演奏と聞いて、駆けつけました!」と、屋我地に滞在中のスペイン人、ペドロ・ギルソニエルさんは、大好きなアイリッシュ音楽を堪能し、満足した様子。
 「なんとなく好きな楽器や気になる作曲家、映画やテレビなどで耳にして気に入った曲などを覚えておいて、それをきっかけに、まずは演奏会へ出かけてみてください」と小越さんはアドバイスしてくれた。
 また、チケットやチラシを入手したら、演奏される曲目をチェックして、CDなどを事前に聴いておくと期待感も高まり、当日の生演奏がより楽しめる。特に、いくつかの楽章で成り立つ作品の場合、全体の構成を知っておけば拍手のタイミングの心配もなく、落ち着いて楽曲を楽しめる。
 アンサンブルを満喫する第一歩として、大人の音楽会へ足を運んでみて。
 
アイリッシュハープを奏でる菅沼安佐代さん(左)は、ハープ奏者、歌手として東京を中心に各地で演奏活動を行っている。フルートの玉那覇功さん(右)は、ジャンルやスタイルにとらわれず県内で幅広く演奏活動を行うほか、ラジオパーソナリティーや司会なども務める
 
「大人の音楽会」
待ち時間も楽しくリラックス  
 
 
  開場の時間を迎え、がらまんホールのエントランスの扉を開くと、心弾むような楽器の音色が耳に飛び込んでくる。宜野座を中心に活動している9人編成のアンサンブル「アフェット」による演奏だ。「開演前のひとときをお楽しみいただくための、ウェルカム・コンサートです」と小越さん。会場の片隅では、ワインやビール、コーヒー、紅茶などのドリンクとともに、チーズやサンドイッチ、スイーツなどが販売され、来場者は好みのドリンクを片手に音楽に耳を傾けたり、おしゃべりを楽しみながら開演を待つ
 
 
 
Close up
 
アイリッシュ・ハープとフルートの魅力に迫る
 
写真左はフルート、右がアイリッシュ・ホイッスル
 200以上もの種類があるといわれるハープは「楽器の女王」と呼ばれ、ギリシャ・ローマ神話にも小型ハープを奏でる神々の姿が登場する。今回、ハープ演奏者の菅沼さんが使用したのは、アイリッシュ・ハープと呼ばれるもの(右上写真)。
「オーケストラなどで使用される大型のグランド・ハープは弦の数が47本あって、半音階を7つのペダルで操作するのに対し、アイリッシュ・ハープは通常34弦で、各弦に付いたレバーで半音階を操作するんですよ」と菅沼さん。
 アイルランドでは古代ケルト民族の時代からハープが愛され、今もなお国の紋章にハープの形が使われているほか、パスポートやコイン、切手などにも描かれているのだという。
 一方のフルートは、バッハなどが活躍したバロック時代には木製だったものが、やがて銀などの金属へと発展したことから、現在でも金管楽器ではなく木管楽器に分類される。
 約70センチの長さがあるため、3つに分割できるようになっている。吹口がある部分を頭部管と呼び、頭部管をはめ込む位置を調整することで、他の楽器と音程を合わせる。その音色は小鳥の鳴き声を思わせるところから、楽曲の中で鳥の声の役として用いられることも。
 また今回、フルート奏者の玉那覇功さんがアイリッシュ音楽を演奏するために用意したのが、アイルランド発祥といわれる真ちゅう製のアイリッシュ・ホイッスル。「ティン・ホイッスルとも呼ばれ、アイルランドの伝統音楽に欠かせない楽器として知られているんですよ」と玉那覇さんは教えてくれた。
 
 
What's
アンサンブルとは
 2人以上の少人数で演奏が行われるアンサンブルでは、二重奏をデュオ、三重奏はトリオ、四重奏はカルテット、五重奏はクインテットと呼ぶ。代表的な編成としては、ピアノにバイオリンやチェロ、フルートなど1人だけが加わるピアノ二重奏、ピアノにバイオリンとチェロが加わるピアノ三重奏、第1第2のバイオリンにビオラとチェロが加わる弦楽四重奏などがある。
 クラシック音楽の中でも、アンサンブルのための室内楽は、英語で「宮廷の広間」を意味するチェンバー・ミュージック(chamber music)と表現され、宮廷楽を意味する。バイオリンとピアノで演奏されるバイオリンソナタや、そこにチェロが加わるピアノ三重奏曲など、アンサンブルのための楽曲も数多く存在し、耳慣れた名曲も少なくない。王侯貴族の集う華やかな世界を想像しながら、耳を傾けるのも楽しい。
manner
クラシックコンサート注意点
【開演に遅れたとき】→「勝手に入らない」のが鉄則
 勝手にホールの扉を開けて入らず、必ず会場スタッフに声をかけて。曲と曲の合間に席へ案内される場合も多い。できるだけ時間には余裕を持って会場へ。配布されるパンフレットなどに目を通し、開演を待つひとときも楽しもう。 ※撮影・録音・録画はもちろん厳禁

【花束やプレゼントは】→ 開演前にスタッフへ確認を

 大ホールでは、開演前にクロークへ預けるケースが多い。小ホールならアンコールで再登場した際に手渡せる場合も。会場に持ち込むと、ラッピングのカサカサという音が周囲の迷惑になる場合もあるので要注意。

【拍手のタイミングは…】→ 周囲の人を見て

 曲が終わったと思っても楽章の間では拍手をしないのが一般的。静かな曲の場合は、余韻を楽しんでから拍手しよう。

【服装は…】→ ちょっとだけオシャレを
 ドレスコード(服装の規定)がなくても、島ぞうりや作業服はNG。ちょっとおしゃれした方が、コンサートの雰囲気を楽しめる。冷房対策にはおれる上着を持って行くべし。
 
 
information
チケット情報

★がらまんホール【大人の音楽会】
 日時/毎月第3土曜日(8月は20日)
    19時開場、20時開演 
 料金/一般前売り1000円(当日1300円)
    ※1ドリンク付き
★作曲家シリーズコンサート2011
 「タンゴの革命児 アストール・ピアソラの世界」
 日時/8月7日(日)16時開演
 料金/前売り2500円(当日3000円)
    未就学児入場不可
 出演/リベルバーグ、
    
スペシャルゲスト:ウイリアム・サバティエ(バンドネオン奏者)
    松川夏子(ダンサー)
■問い合わせ先/がらまんホール 電話:098(983)2613
  ※詳細はHP(http://www.ginoza-bunka.jp/)でチェック。

★アンサンブル「半音会」第2回演奏会〜ミサの響き〜
 日時/8月6日(土)19時開演
 場所/パレット市民劇場(那覇市)
 料金/前売り一般1500円(当日300円増)、学生1000円(当日200円増)
■問い合わせ先/アンサンブル「半音会」(与那嶺)
 電話:090(8290)8467

★野薔薇の会 室内楽コンサートシリーズVol.3「室内楽の楽しみ」〜響きの原点をもとめて〜
 日時/9月19日(月)18時30分開演
 場所/浦添市てだこホール(小ホール)
 料金/一般2500円、学生1500円(当日各300円増)
■問い合わせ先/野薔薇の会(伊禮)
 電話:090(5286)1684

 
 

週刊ほーむぷらざ トップへ



沖縄タイムス購読申し込み


(株)タイムス住宅新聞社 ・週刊「ほーむぷらざ」編集部
画像及び文章の無断転載・無断引用・販売などは固くお断りします。
Unauthorized redistrbution of my data is strictly prohibited