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撮影:高野生優(フォトアートたかの)
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作家と見る側の架け橋に
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「衣食住が足りていても、希望がなければ人は生きられない」と一瞬、涼やかな目元を潤ませた。美大出身で自身作り手であったこと、作家の下で働き古美術の輸入販売にも携わった経験から、3年前に「RyuQ
Arts」を設立。展示会の企画開催から作家や作品のコーディネート、伝統工芸の商品開発までを手がける。「作り手は言葉で伝えるのが苦手な人が多く、見る側は難しく捉えがち。アーティストの多い沖縄にこそ間に立つ人間が必要」と架け橋を担う。
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展示企画から商品開発まで
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| 作品に合ったマットや額を選ぶ井上さん(左)。合わせる額の風合いやマットのわずかな厚みの違いで、作品の印象が変わってくるため、作家の意図や展示する空間を考慮しつつ決めていく(撮影協力/カードル「アトス」) |
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「作り手の思いくみ取り、見る側には感じ方のヒント伝える」/
「自分と向き合い感じる心、それがアート」 |
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県外では美術工芸プロデュースを生業(なりわい)とする人は多いが、県内ではその必要性が浸透しておらず、金銭的な問題もあって作家やギャラリーが自らプロデュースするケースが多い。が、「それでは作家もストレスがたまるし、見る側にもうまく伝わらない」との思いが沖縄での仕事につながった。
例えば、作家が展示会をする際は、作品に最も適した展示スタイルを提案。作家の思いをくみ取り、見る側のヒントとなるようタイトルからDMまで工夫を凝らす。ギャラリーや美術館の企画展の際は、主旨に応じた作家をピックアップ。作品の輸送から作家の滞在中の世話まで、双方が気持ちよく仕事できるよう一切の雑務を引き受ける。
ほかにも店舗作りにあたってオーナーと職人をマッチングしたり、大宜味村のブランドプロジェクトに関わるなど、さまざまなカタチで作家と顧客をつないできた。
昨年は、県内で活躍する20〜60代の作家32人に呼びかけ、県民ギャラリーで「TOUGEI OKINAWA10-30」を開催。
「県内の陶芸家は、作風や思想の違い、プライドもあって横のつながりを持てていない」と、文化庁のバックアップを得て作家同士が交流を図る場として提案したものだ。
開催にあたっては、より多くの世代に向けて沖縄陶芸の「今」を発信したいと、準備段階からブログに状況をアップしたり、楽しみ方をチラシで分かりやすくアドバイスするなど「自分も参加していると感じてもらえるように」と心を配る。「陶と言っても広く深い。そこを見る側や使う側も含め、感じあうことが発展につながる」。狙いは当たり、老若男女2千人余が来場した。
意外にも「数学と物理が好き」で、アートとは無縁な学生時代を送る。「偏差値でしか評価されないことに高校生ながら腹立たしさを感じつつも、精神性を表現するアートの必要性に確信が持てなかった」。葛藤の中、ボランティアで訪れたラオスとタイでの出会いが転機となった。
「幼児まで麻薬に侵され人身売買は茶飯事。それでも子どもたちは『ご飯は食べたら無くなるけど、絵本は楽しくって希望が残るから、絵本がいい!』と言う。食事や衣服があっても、希望がなければ人として生きられない―」。アートの必要性をリアルに感じた瞬間。その気持ちを無くしたくないとの思いが原動力だ。
10月には新都心の通り会が毎年行う「アートde博美祭り」を全面プロデュース。町中にアートを仕掛けることで「カタチにとらわれず楽しんでもらいたい」と企画中。
「作品に触れることは、1人の人間の内面に思いをはせ、自分とも向き合うことにつながる。感じる心、それがアート。皆が生きる喜びを、人の心を実感できれば」と静かな情熱を燃やす。(徳正美)
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今年4月から関わる大宜味村のブランドプロジェクト「SHYURAKU」の打ち合わせに参加する井上さん(写真右)。地域活性を強く望む村在住作家の働きかけをきっかけに実現したもの。大宜味村の地域活性のため、工芸を生かして産業を生み出し、雇用促進につなげるのが目的だ。「伝統工芸の新たなジャンルを確立し、世界に挑戦したい」とプロデューサーとして村民をサポートする
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| ■ところで…+α |
| 伝統工芸を残すには「暮らしの中で使うことから」と、仲間と着物を着て集まる会を開く井上さん。昨年はご主人が新都心で経営するシガーとウイスキーのバー「OBIKA!」に着物姿で立っていたが、4歳の娘さんがいることから、「さすがに体力が持たない」と現在は本業一本なのだとか。ちなみに「OBIKA!」もご主人の思いをくみ取って建築士をマッチング。大人の隠れ家的雰囲気で、1杯ワンコインからン十万円まであるらしいので、興味のある方はのぞいてみて。 |
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いのうえ・みどり
1978年京都府出身。美術を学ぶため、高校を中退し単独ニュージーランドへ。デザイン&アートカレッジオブNZ卒業後、帰国。(株)堀木エリ子アンドアソシエイツで越前和紙を使った作品の受注製作、(有)かづら清で古美術品の輸入販売に携わる。結婚を機に沖縄へ移住。2005年、株式会社プラザハウスのグローバルギャラリーの企画を担当。08年、美術工芸プロデュース・アートコンサルタントRyuQ
Artsを設立。09年、沖縄県立美術館企画「TOSHIKO TAKAEZU展」では、図録作成から展示に関する資料収集、展示作品輸送に関わる。
http://www.ryuqarts.jp
ryuqarts@hotmail.co.jp
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