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300年余りの歴史を持つ焼き物の町として、今も数多くの窯元が残る「壺屋やちむん通り」。那覇市の中心地にありながら、石垣や井戸、赤瓦の家屋など、古い景色が残る町並みは、歩くことで発見できる新しい魅力があった。(中村美穂)
壺屋やちむん通り
那覇市
焼き物・町並み 風情今に
土曜日の昼。やちむん通りには多くの観光客が足を運んでいた。厨子がめが並ぶ風景は壺屋ならでは
300年余の歴史持つ
多彩な品ぞろえ
▲「陶彩」は、緑釉(りょくゆう)を使った陶器が特徴
▲白の化粧土をかけ、線彫りで仕上げた唐草模様の汁マカイ
国際通りから平和通りを抜け、アーケード内を歩いて行くと、ゆるやかなカーブを描く琉球石灰岩の石畳道「壺屋やちむん通り」にたどり着く。これまでのにぎやかな商店街の雰囲気とはうって変わって、赤瓦屋根の家屋や緑が這う石垣など、昔懐かしい風情ある景色が広がる。
通りの両側には、壺屋焼窯元の直売店から、県内各地の焼き物を集めたセレクトショップ、骨董屋まで、大小多くの陶器店が並ぶ。シーサーや雑器、厨子
(ずし)
がめ(骨壷)など、あらゆる陶器がそろっている。温かみのある土の質感や素朴な風合い、さまざまな文様などが魅力の焼き物(やちむん)。壺屋焼は加飾に、線彫りや染め付け、イッチン、タックヮーサーなど、さまざまな技法を用い、色や形、文様などが多彩なのも特徴の一つ。窯元によって得意とするものが異なるので、器一つをとってもそれぞれに違った味わいが楽しめる。お店の人に壺屋の特徴的な品を聞くもよし、一つ一つ違いを見ながらお気に入りの品を見つけるもよし。探す楽しみが広がる。
壺屋焼は、1682年に琉球王府により3つの窯(美里村知花窯、首里宝口窯、那覇湧田窯)が統合し、誕生した。以来、壺屋で窯元が絶えることはない。1970年代には、煙害などの問題で登り窯の使用は禁止されたが、今でも20件余りの窯元が残り、多くの陶工が伝統の技術を引き継ぎ、壺屋の町でやちむんを作り続けている。
窯元によってそれぞれ表情が異なるシーサー。
違いを探しながら見るのも楽しい
新旧の魅力発信
「育陶園」6代目陶工の高江洲忠さん(写真手前)。器の底を丁寧に削り、形を整えている。育陶園では作業場を見ることもできるが、見学の際は仕事の邪魔にならないよう配慮を
壺屋は戦争の被害が比較的少なく、沖縄の昔の町並みが残っている。やちむん通り周囲のスージグヮーには、東
(あがり)
ヌ窯(上焼
(じょうやち)
の登り窯。現在修復中)や南
(ふぇー)
ヌ窯(荒焼
(あらやち)
の登り窯)など、国や県指定の重要文化財や、井戸、拝所が多いのも特徴。ツタが絡む石積みから赤瓦屋根がのぞくいしまち通りなど風情残る町並みは、都心とは思えないのんびりとした空気感が漂い、ブラブラと散策するだけでも楽しい。南ヌ窯の周辺では、春先にはホタルが現れるほど自然豊かだ。
昔ながらの町並みを残しつつ、通りを形成したとして、地域づくりの観点からも全国的に注目されている。壺屋に新・古美術の店「陶宝堂」を構える壺屋やちむん通り会会長の金子康一さんは、「通り会では、8月から月1回の活性化協議会を始めています。通り会のメンバーだけでなく、住民の参加もあり、地域全体で壺屋を良くしたいという思いが高まっています」と話す。そんな壺屋の魅力に引かれて、周辺には県内で活躍するクリエーターのショップや、若者向けのセレクトショップなども集まってきている。
現在、通り入り口では国際通りへの街路新設工事が進んでいるが、便利になると同時に、町並みや人の流れが変化するのではとの不安の声があるのも現状。「街中のオアシスのような壺屋を良い形で変化させたい」―。古いものを大事にしながら、今の暮らしに添う新しい提案を模索している壺屋から目が離せない。
▲窯元直売店では、一つの窯元の作品が販売されている。種類は器からシーサー、茶器、酒器など、多種多様
▲セレクトショップでは、壺屋焼のほか、店主の見立てで各地の品が集まっている
11月3日〜6日は「第7回 壺屋やちむん通り祭り」
2008年の祭りの様子。無料で体験できる陶芸コーナーは人気(左)。道ジュネーでは、エイサーやフラなどが披露された
やちむん通りを会場に、毎年11月に開催される「壺屋やちむん通り祭り」。第7回の今年は11月3日(木)〜6日(日)までの4日間開催される。初日に行われる道ジュネー(3日の午後は車は通行禁止)でエイサーなどの演舞が行われるほか、各店舗による割引セールや琉装体験、やちむんで料理を提供する飲食コーナーなど、盛りだくさん。陶芸の無料体験もあるので、やちむん好きはぜひ足を運んでみよう。
自然のテーマパーク
高江洲 啓子さん
壺屋焼の窯元、「育陶園」で女将をしています。6年前からは体験教室も構えているので、陶芸に興味のある方はぜひいらしてください。
壺屋焼は、沖縄の陶土、釉薬(ゆうやく)を使い、機械に頼らずすべて手作業で作られたやちむんです。焼き物に限らず、地のものが一つでも身近にあると豊かな気持ちになれると思います。
壺屋は通りだけでなく、地域全体で楽しめる町。都心だけれど、緑も昔の街並みも残っているめずらしい地域なんですよ。まずは壺屋を歩いて、楽しんでみてください。
学芸員 倉成 多郎さん
「1階の『暮らしと壺屋焼き』シアターでは、現役の陶工に登場していただいています。普段なかなか目にすることのない作業風景などのシーンもあり、壺屋焼の魅力が分かりやすくなっています。ほかにも、ゆんたくコーナーでは、壺屋の店だけでなく、那覇の情報も入手できます」
◆壺屋焼物博物館
やちむん通りを散策するなら、まずは壺屋焼物博物館に足を運んでみよう。沖縄の焼き物や壺屋の歴史が学べ、より壺屋の魅力を満喫できるはず。
電話:098(862)3761
10時〜18時(入館は17時30分まで)
月曜日・年末年始休館
スージグヮーを
歩いてみよう
壺屋の町には、自然や歴史的文化財が残るスージグヮーがいっぱい。地図を片手に散策してみて。
メーン通りでやちむんを見た後は、裏通りのスージグヮーにも足を伸ばしてみよう。今も壺屋でやちむんを作り続けている窯元の多くもスージグヮーにあり、赤瓦屋根の家やツタが絡む石積みの景色など、昔ながらの風景が残っている。文化財にも指定されている東ヌ窯や南ヌ窯ほか、北の宮(ニシヌメー)などの拝所を回ったあとは、茶屋でホッと一息。いしまち通りに店を構える「茶屋すーじ小」では、沖縄の食材を使った「すーじ小御膳」をはじめ、沖縄そばやぜんざい、ポーポーなどが味わえる。通りのあちこちに隠れているシーサーを探しながら歩いたりと新しい発見にも出合えるはず。
「茶屋すーじ小」は、約築100年になる古民家を改修
(左写真)
▲南ヌ窯から通りを眺めると赤瓦に木々の緑で風情ある景色が楽しめる
▲2000年度の那覇市景観賞を受賞した、いしまち通り
▲焼き物の神さまが祭られているニシヌメー
ガイド付きで壺屋を満喫
自分たちで町を散策するのもいいけれど、より歴史や文化を知りたいなら、ガイド付きで町を歩くのもお勧め。那覇市観光協会が主催する「那覇まちまーい」や、ecomo.i(エコモ・ドット・アイ)が運営するベロタクシーでは、ガイド付きで壺屋のやちむん通りとスージグワァーを巡るコースを用意している。
料金など詳細はそれぞれHPを。
那覇まちまーい(
http://www.naha-machima-i.com
)
エコモ・ドット・アイ(
http://www.velo-isl.jp
)
マーケット見取り図
▲各店舗には、見どころが記された手描きのかわいいイラスト入りのやちむん通りMAPもある
【アクセス】
バス停「三越前」から徒歩8分、
「壺屋」から徒歩3分
11月24日(木)〜27日(日)までの4日間は、壺屋小学校で「第32回壺屋陶器まつり」も開催
(主催:壺屋陶器事業協同組合)
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(株)タイムス住宅新聞社 ・週刊「ほーむぷらざ」編集部
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