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疲れが取れない、やる気が起きない、ED(勃起障害)など…、男性にも表れることが知られる「更年期症状」。ストレスと密接な関係があり、働き盛りの年齢で表れる人も多い。ひどくなると会社に行けなくなるケースもあるそうだ。沖縄赤十字病院で「男性更年期外来」を担当する外間実裕医師は、「ここ数年で診断や治療も進歩しました。自身で、または家族が『男性更年期』だと気付き、正しい治療を受けることが改善への近道」と話す。そんな男性更年期の最新事情や、家族ができるサポートなどを伺った。(東江菜穂)
夫婦のこと
夫婦で向き合う「男性更年期」
働き盛りの男性を襲う「男性更年期」。「男性は自分の体に無頓着だし、弱みを見せるのが苦手。だから、日ごろから奥さんや家族と一緒に出かけたり会話をするなど、変化に気付ける関係であってほしい」と外間医師は語る
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加齢よりストレス?「LOH症候群」とは
沖縄赤十字病院では、2年ほど前から泌尿器科内に「男性更年期外来」を設けている。担当する外間医師は、「初診時の症状で多いのが、『疲れやすい・ダルい』『やる気が起きない』『イライラ』『不眠』『ED(勃起障害)』の順です」と説明する。
その症状を引き起こす原因は、心因と男性ホルモン量低下の2つに分けられる(下図参照)。どちらも症状はほぼ同じで、うつ病とも似ているため診断や治療が難しかった。
しかし、「2007年に、男性ホルモン量低下による男性更年期には『LOH症候群』という名前がつき、ホルモン値を調べることで診断がしやすくなりました。ホルモン補充治療も積極的に行え、保険も適用になっています」と最新事情を語る。病院では、まずAMSスコア
(別表参照)
に答えてもらい、ホルモン量を測定して診断する。心因性との割合は「2つが絡み合っているケースもあるため、数値で出すのは難しい」という。ちなみに赤十字病院・男性更年期外来の受診者で見ると、「LOH症候群」と診断される人が比較的多いようだ。
「LOH症候群において、男性ホルモン量が低下する理由は分かっていません。加齢も要因の一つだとは思いますが、受診者で一番多いのは40代で、二番目に50代、次いで30代と60代です。働き盛りに多いのが特徴です」という。この年代は、家族を支えなければならないプレッシャーや、職場での重責を抱えている男性が多い。「男性ホルモンの分泌をストレスが邪魔している可能性も高いと思います」と、見解を話す外間医師。
心因性にせよ、ホルモン量低下にせよ、どちらもストレスが引き金になっているよう。現代社会でストレスが無い人はいない。だからこそ、夫が、いつ、「男性更年期」になってもおかしくないといえる。
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自分では気付かない 妻の目、声かけ大切
では、「男性更年期」の改善のため、家族ができるサポートは何だろう。
「働き盛りの男性は、不調を感じても、まさか自分が更年期とは考えないはず。ですから、周りが冒頭に挙げたような症状に気付いたら、受診を進めて」と語る。泌尿器科や心療内科でも良いが、ホルモン量の診断なら男性更年期外来がベストだ。
怖いのが、イライラする夫に対し、妻も無視をする悪循環。家族崩壊や人とのコミュニケーションが難しくなり、仕事に行けなくなるケースもあるという。「きつい言葉を言うのは、更年期のせいかもしれません。男性は人に頼るのが苦手だし、自分の体にも無頓着。おおらかに構えて話を聞き、治療すれば治る『病気』だと説明してあげてください」と外間医師。
実際、妻に症状を指摘され、受診した49歳の男性は、2〜3年前からイライラや勃起障害、睡眠障害があったという。LOH症候群と診断され、治療。まず自分のイライラに気付き、気持ちも落ち着いてきて、夫婦生活も再開、睡眠障害も改善したそう。
50歳の男性は、1年前から体力の低下やイライラが表れ、「家族が一緒だと楽しくない」と訴えていたという。それが、治療を進めるごとにやる気も出て調子が良くなり、家族関係も良くなっていると語ったそうだ。
外間医師は、「男性更年期の引き金はストレスです。睡眠不足や食生活の乱れ、酒の飲み過ぎもストレスに対抗する力を弱めてしまいます。お酒を飲むのをやめたことで順調に回復したケースもあります。奥さん(家族)と一緒に生活習慣を見直し、変化に気付ける関係でいてほしい」と結んだ。
「LOH症候群」と「心因性男性更年期障害」
「うつ病」の位置付け
現在、男性更年期障害の中でもホルモン低下によるものは「LOH症候群」と定義され、ホルモン治療も積極的に行えるようになった。ちなみに「
LOH
」とは「
L
ate−
O
nset(加齢男性)」「
H
ypogonadism(性腺機能低下症候群)」の略。
しかし、図のように心因性更年期障害と重なっている場合もあり、ホルモン補充治療のみでは改善されない場合もある。また、「心因性更年期障害」はうつ病と重なるケースも多い。LOH症候群は泌尿器科や男性更年期外来へ。心因性更年期は心療内科へ。ホルモン量測定をしたいのであれば、男性更年期外来が確実だ。泌尿器科でやっている場合もあるので、かかりつけ医を確認して。
男性更年期 (LOH症候群)チェック表
教えてくれたのは
沖縄赤十字病院 泌尿器科第一部長
外間実裕 医師
ほかま・さねひろ/男性更年期外来や漢方外来も担当する。
琉球大学医学部泌尿器科講師を経て現職。
沖縄赤十字病院 電話098(853)3134
http://www.okinawa-rch.jp/
ホルモン補充療法について
沖縄赤十字病院では、泌尿器科内に「男性更年期外来」を設け(毎週月曜の午後と、木曜の午前・午後)、男性ホルモン補充療法もしている。保険も適用されるそう。「他の曜日でも診療時間内であれば対応できますよ」と外間実裕医師。當山裕一医師と2人で担当している。
ホルモン補充療法は、男性ホルモン量が低値の人に対し、まず月に1回、3カ月投与する。「前立腺がんが隠れていると、悪化させる可能性もあるので事前に調べてから投与します」。3カ月後、本人の声や数値を見て継続するかどうか判断する。1回の投与ですぐに改善する人もいれば、回数をへて徐々に良くなる人もいる。改善が見られない場合もある。継続を希望する場合は、だいたい1年くらい投与し、様子を見て減らす方向に持っていく。ホルモン投与により、改善された人の声としては「なんとなく、全体としてよくなっている」「ダルさが取れた」「やる気がでた」「イライラが改善」「性的な改善」などが上がっているそうだ。
外間医師の
「男性更年期」オススメ本
「男の更年期」 ジェド・ダイアモンド著(新潮社)
男性更年期が及ぼす肉体的変化と精神的変化をベテランセラピストが解説する、アメリカのベストセラー。「男性の更年期障害が日本で紹介され始めたころに出た本です。男性の更年期では具体的にどのような症状があり、日常生活で何に気をつけないといけないかなど、具体的に書いてあり、とても役に立つ情報が満載です」と外間医師のお墨付きだ。
「ホルモン力が人生を変える」堀江重郎著(小学館)
男性ホルモンの低下が及ぼす問題や、ホルモン力を上げるノウハウなどを紹介している1冊。「LOH症候群が世間に広まるきっかけとなったNHKの番組『ためしてガッテン』に出演された堀江先生の著書です。男性ホルモンにはどのような働きがあり、男性更年期をうまく乗り越えるためにはどうすればいいかなど、最新の研究を分かりやすく紹介した面白い本です」とのこと。
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(株)タイムス住宅新聞社 ・週刊「ほーむぷらざ」編集部
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