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島やさい工房「かめさんといっしょ」
主宰、栄養士、調理師

 
島袋 都子 さん
撮影:高野生優(フォトアートたかの)
ウチナーの食文化を伝承

 カンダバーを手に「炒め物やジューシーにしてもおいしいですよね。新メニューにも使おうと試作中です」と話す、島やさい工房「かめさんといっしょ」主宰の島袋都子さん。栄養士として約10年、学校や病院、老人ホームなどで勤務するうち、「老若男女を笑顔にできる沖縄の食文化の素晴らしさを実感。それを広く伝えていきたい」と、昨年、2坪ほどの小さな工房を構えた。島野菜を使った料理の配達販売や料理講習の依頼にも応じ、「できることから少しずつ」活動する。

 
 
料理の配達販売、講習会も
 
 わずか2坪ほどで、2人入ればいっぱいの小さな工房。島袋さんはここでキッシュやお弁当、オードブルなどを一人で作り、配達販売している=読谷村、島やさい工房「かめさんといっしょ」(撮影/編集部)
 
「亡き祖母のボロボロジューシー。
きちんと習えなかった後悔が、『伝承』への思いにつながった」
 
 工房名の「かめさん」は、祖母の名前から取った。チャンプルーやかちゅー湯など当たり前に食べていた祖母の料理。「特にボロボロジューシーが好きだったのですが、きちんと習えないまま亡くなってしまい、今もあの味を出せずにいて。受け継いでいくことの大切さを痛感しました」との思いが由来だ。
 記憶に残る祖母の味をベースに、栄養士・調理師として現場で積んだ経験、改めて学校に通い磨いた技術を重ね、昨年、小さな工房を設けた。 島野菜を使ったキッシュや弁当、オードブルなどを手がける。「栄養士として働いていたとき、若い世代から『島野菜を食べたことがない』『存在自体知らない』との声を耳にしました。まずはおいしさを知ってもらいたくて」と、「フーチバーと島豆腐」「人参とハママーチ(琉球ヨモギ)」など季節の島野菜と、相性の良い食材を組み合わせてキッシュにした。島野菜の風味は残しつつ食べやすく工夫。「食卓で活用するヒントに」と、下ごしらえ法や調理法などもブログに掲載している。
 弁当やオードブルも旬の島野菜をメーンに、クーブイリチーやジーマーミ豆腐など伝統料理から、「ターンムと山芋のジャーマン風」といった創作料理にも腕をふるう。さらに中医薬膳指導員の資格も生かし、「どんな人がどんな時に食べるのかも考慮します。お酒の場に用いるなら、体を冷ます効果があるゴーヤーなどのウリ類を使う」との心配りが、リピーターにつながっている。
 工房にはテーブルも販売スペースもなく、電話注文を受けて配達販売するスタイル。「私1人で作っているので、少しずつ、できることから」。まさに"カメ"のように、一歩一歩ゆっくり着実に歩む。

 島袋さんが力を入れるのは、「食べてもらって伝えること」と、もう1つ「一緒に作って伝えること」だ。
 工房を始める前から、料理講習会には積極的に携わってきた。現在は「かりゆし長寿大学校」や「読谷村民泊協力会」で料理の講師をし、そのほか単発の講習も受け持つ。「逆に教わることも多く、楽しんでやっています」と笑う。
 その笑顔の裏では、綿密な事前準備を欠かさない。講師を始めた当初、「教室で作るのは楽しいけど、家では作らない」と言われたことがあった。「持ち帰ってくれないと意味がない。参加者層をよく考えて、レシピを練っています」。
 初心者が多い講座では、「身近な食材で作れる簡単 菜飯(せーふぁん)」を紹介したり、デイサービス施設では「高齢者に好まれる料理を。ヒランメー(麦と豚足を煮込んだ料理)や、山芋のスープを作りました」。後に、施設で提供するメニューに加わったと聞き「これが一番のやりがい!」と目を輝かせる。
 風邪をひいたら「かちゅー湯」、足が痛ければ「足テビチ」をいただく「中医薬膳の『以蔵補蔵(動物の内臓を利用し類似する臓を治療する)』や栄養学的なことを、当たり前に実践してきた沖縄の先人たちは素晴らしい。知るほどに、伝承への思いが強まる」との使命感を胸に、今日も「おいしい」を届ける。(東江菜穂)
 
 
 工房の看板メニューの島野菜キッシュ。写真は「にがなと島豆腐のキッシュ」だ。前日までに電話注文すれば配達販売してくれる(ほかの注文や講習会など重なると対応できない場合もある)。お弁当やオードブル、重箱などの注文も可。配達場所にかんしては要相談(写真提供/島袋都子)
 
 
ところで…+α
 言葉から、笑顔から、「料理好き」がにじむ。作るのに夢中になり、アチコーコーの油鍋に指を突っ込んでいるのにも気付かなかったというから、筋金入りだ。特に琉球料理の話になると、「最近、祖母のボロボロジューシーのコツが見えてきました! かつおだしを沸騰させてから、ご飯と野菜を一緒に入れると、野菜のだしが出ておいしくなるんですよ」と満面の笑顔。「作ってみようかな」と思わせる、これが料理への愛がなせる島袋マジックなのだろう。
 
 
P R O F I L E
しまぶくろ・くにこ
1974年、読谷村生まれ。1997年、茨城県 鯉渕学園農業栄養専門学校を卒業。同年4月に栄養士資格を取得。栄養士として、学校や病院、老人ホームなどに勤務。2008年、調理師資格取得。2010年8月に島やさい工房「かめさんといっしょ」をオープンした。沖縄食材スペシャリスト、中医薬膳指導員。島やさい工房「かめさんといっしょ」
電話: 080(2735)5426
営業状況などは、ブログからもチェックできる。http://kanesantoissyo.ti-da.net/
 
 

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