|
| |
 |
| 子どもや女性、弱者を狙う性暴力。そんな危険から身を守るための護身術「WEN−DO」のインストラクター・橋本明子さんによる、「思春期の子どもと向き合う〜性の健康を守る〜」講座(主催:NPO法人おきなわCAPセンター)が、11月5日(土)に開催された。親を対象にした同講座では、体に変化が現れてきた子どもに「性」についてどう話したら良いか、そして性犯罪を回避するための護身術も説明。子どもを危険から守るための知恵が詰まっていた。(東江菜穂) |
|
| |
| |
|
子育てのこと
|
| |
|
「性教育」で心身を守る
|
| |
| |
| |
|
 |
| 11月5日に開かれた「思春期の子どもと向き合う〜性の健康を守る〜」講座の様子 |
|
 |
| |
|
| |
講座のベースとなっているのは、女性のための護身術「WEN−DO」の考え方。カナダ発祥で、「WEN」は「WOMEN(女性)」「DO」は「道」を意味する。もちろん実践的な技もたくさんあるが、重要視しているのは「自分を大切に思う心」だ。「自尊感情がなければ、技を知っていても動けなかったり、ためらったり。身に迫る危険を回避できません」と語るのは、講師の橋本明子さん。
実は思春期のころ、母親の再婚相手から性的虐待を受けていた。「家族は気がついているのに助けてくれず、自分自身も『私が悪いのかな』『恥ずかしいことだから人に言ってはいけない』と思わされ、ずっと我慢してきました」と振り返る。
しかし、被虐待児を描いた本や、WEN−DOとの出会いで「私は悪くなかった。私は大切な存在で、それを侵害する相手が悪い!」と、気がつけたという。
子どもの自尊感情を尊重しながら「性」について、正しい知識を与えることが「性犯罪から子どもを守ると同時に、性犯罪の加害者をつくらない」と語る橋本さん。では、どのように伝えればよいのだろうか。 |
| ■自己尊重と自己責任
きちんと伝えて育む |
子どもから性についての質問を受けたとき。大人が焦ったり「まだ早いよ」と突っぱねると、「子どもの自尊感情を傷つけ、性的な問題が起こっても打ち明けられなくなってしまいます」という。
「子どもに『恥ずかしい』という気持ちを植えつけず、大人も焦らずに話ができるように『今日はお互いに科学者になったつもりで、じっくり話をしようね』と伝えてから、話をしています」とアドバイスする。
例えばプライベートゾーンの話をするときは、名称を「おちんちん」などの言葉でごまかさず「ペニス」「陰嚢(いんのう)」「ワギナ」と医学的な名前で説明する。「陰嚢にある精巣で、命のもととなる精子が作られます。これが尿道口を通って外に出ることを射精といいます」。「卵子は体外に出ると死んでしまう。だから、膣にペニスを挿入して、空気に触れさせずに精子と受精させないといけない。これがセックスです」と、イラストを見せながら、ゆっくり語る。理解しにくいようであれば「何度も教えてあげればいい。世の中には誤った情報も多くあります。子どもがそれに惑わされずに自分の変化を受け止められるよう、正しい情報をしっかり落とし込むことが大事」と語る。
妊娠・出産の話では「0.02ミリの受精卵が3キロの赤ちゃんになるまで、お母さんはたくさん栄養を与えて大事に育てているんですよ。皆もそうやって生まれてきたんだよ」と自尊感情を育むことも忘れない。
そして、「プライベートゾーン(口・胸・性器を指す。自分だけが見たり触ったりできる場所)」の説明では、「責任」も言及する。「男性は『夢精』といって寝ている間に少し精液が出たり、女性は月経で下着を汚すことがあります。プライベートゾーンから出たものは、最後まで自分で処理する責任がある。自分でちゃんと洗ってから洗濯機に入れてもらいましょう」とアドバイス。それは口から出る「言葉」も含まれるという。
自己責任を持たせることが、相手を尊重する心にもつながるのだ。 |
| ■距離を決めるのは私
スキをつくり逃げる |
講座の最後にはセルフディフェンス術も伝授。「技は安全に逃げるため、相手にすきを作るのが目的です。技を使わなくても逃げられるならそれが一番。そのために、相手との距離の取り方を考えてみましょう」。
その際は、「サークルズ・プログラム」(下図参照)を使うと分かりやすい。子どもと一緒に、誰がどこに当たるか考えておくのもおすすめ。
赤色ゾーンにあたる、知らない人が近づいてきたら、「相手と自分が手を伸ばしても触れ合わないくらいの距離を取りましょう」と話す。もし、私が嫌だと思っているのに相手がそこを超えてくるようなら「遠慮せずに逃げて。子どもなりに『相手に悪いかな』と気を使うみたいですが、人との距離を決めるのは、相手ではなく自分です!」と力を込める。それでも近づいてくるなら、大声で「やめて!」と叫ぶ。持っている傘、かばんを自分の前で8を書くように振り回して相手との距離を取り、逃げる。「自分の体は自分だけの大事なものです。正しい知識を持ち、しっかり守りましょう」と締めくくった。
参加した女性は「ちょうど思春期の子どもがいるので、講座に参加しました。ただ『気をつけなさい』ではなく、具体的な距離の取り方や対処法まで習えてよかった。早速教えたい」と充実した様子で感想を述べた。
|
|
| |
|
人間関係と距離の考え方
|
アメリカで開発された「サークルズ・プログラム」によると、誰とどのくらいの距離を取ったらよいのかが分かりやすい。「中心は『私』で、相手との距離を決めるのも私。私が触れられたいと思わなければ誰も私に触れることはできません」と語る橋本さん。青色ゾーンの「抱擁の関係」から、赤色ゾーンの「距離を保つ関係」まである。距離を保つ関係は、具体的にいうと互いが手を伸ばしても触れ合わないくらいを取れば良いそう(上写真参照)。
子ども向けの講座では、子どもと一緒に誰をどこに置くか考えてもらうという。「例えば今日は、両親を外側の『水色ゾーン』に置いてもいいし、友人も、今は『水色ゾーン』だとしても今後『オレンジゾーン』に移動させてもいい。自分で決めて、それを侵害する人には、NOと伝えていいんですよ」と説明する。 |
 |
| 【出典/橋本明子著「セルフ・ディフェンス」(三五館)】 |
|
|
|
| |
|
| |
| 思春期の心身のための意識啓発事業 |
 |
| 鏡原中学校で開かれた「大人ワークショップ」の様子 |
|
那覇市(平和交流・男女参画課主催)は今年度、「NPO法人おきなわCAPセンター」に業務委託し、「思春期における“安心・自信・自由”な関係づくり〜自分を大切に、相手を大切に〜」をテーマに意識啓発事業を市内の中学校10校で実施している。
中学校1年生を対象にした「子どもワークショップ」と、保護者や教員・地域住民を対象にした「大人ワークショップ」を学級単位で2時間ずつ開き、「心と体を大切にする」という視点から、思春期における問題や危険を予防・回避するためのヒントを提供している。担当課のなは女性センターの当山浩子主幹は「いざというとき、その対処法を知っているのと知らないでは大きな違いがあります。子どもが安心して大事な時期を過ごせるように、そして大人も子ども自身が問題を解決する力を引き出せるようサポートするための啓発事業です。受講者からの反響も良く、継続してこの事業を展開していきたい」と語った。同事業は来年度も継続予定だ。 |
|
|
| |
教えてくれたのは
橋本明子さん
1966年、神奈川県生。WEN‐DOインストラクター、性の健康教育ファシリテーター、デートDV防止講座講師、CAPスペシャリスト。「リアライズYOKOHAMA」代表。日本各地でWEN‐DOの講座や性教育の講座を行っている。著書に「セルフ・ディフェンス‐あなたは正しい(三五館)」などがある。
http://realize-yokohama.jp |
|
| |
| |
|
週刊ほーむぷらざ トップへ

(株)タイムス住宅新聞社 ・週刊「ほーむぷらざ」編集部
画像及び文章の無断転載・無断引用・販売などは固くお断りします。
Unauthorized redistrbution of my data is strictly prohibited
|