週刊ほーむぷらざトップへ   バックナンバー
 
 
1002
 

沖縄県立沖縄工業高校保健体育科教諭
ウエイトリフティング部顧問

 
平良 真理 さん
撮影:高野生優(フォトアートたかの)
重量挙げの楽しさ体現指導

 県内女子重量挙げ選手の草分けで、2000年のシドニーオリンピック女子53キロ級で7位に入賞した平良真理さんが指導者として奮闘している。「どの子もそれぞれに可能性がある。やれば自分にもできる、努力すれば結果につながる経験を、味わってほしい」。今年8月の北東北総体では、沖縄工業高校の教え子が初めて全国でのメダルをつかんだ。目標を掲げ、懸命に練習を重ねる生徒の姿に刺激を受け、自身も競技に復帰。教え子たちと切磋琢磨で競い合う。

 
生徒と切磋琢磨で成長
 
「力を抜いて。ぶれないように軸を固める」。平良さん(左)は、生徒の動きをチェックしながら練習を補助し、アドバイスする=沖縄工業高校(撮影/フォトアートたかの)
70キロのバーベルを肩にかついでスクワットをする平良さん。競技復帰し、自身の練習にも熱が入る
(※)重量挙げは体重別に階級分けをし、その階級の中で記録を競う。種目は2種類あり、1つが地面に置いたバーベルを頭上へと一気に引き上げ、立ち上がる「スナッチ」。もう1つが、地面に置いたバーベルを肩まで引き上げて立ち上がり、その後、全身の反動を使って頭上へとバーベルを差し上げる「ジャーク」だ。
 
世界で戦った経験生かし指導「子どもたちの成長が喜び」/
競技に復帰「おばあちゃんになっても続けたい」
 
 「(スピードが)遅い」「力を抜いて。そうそう、さっきよりいいよ」。一人ひとりの動きに目を配り、アドバイスする平良さん。「体育教員になって、重量挙げの指導をするのが夢だった」と語るだけに、生徒の個性を大切にした熱心な指導が定評を得ている。
 自分の体重をはるかに超える重さのバーベルを両手で頭上に持ち上げ、その記録を競う重量挙げ。腕力勝負の競技だと思われがちだが、実際は足腰のバネやスピード、バランスとタイミング、精神面の強さが重要な要素だという。
 「壁にぶち当たっても自分を信じて、足りないところは何なのかを探りながら我慢強く練習を続けるのは難しいこと。それをできるかどうかが、試合での勝ち負けを左右する」
 技術面の助言はもちろん、メンタルサポートにも力を注ぐ。ちょっとした変化も見逃さないよう、学校生活の中でも教え子の様子に目を配り、気になることがあれば声を掛け、話に耳を傾ける。「家のことや友だちのことを聞いたり、私自身の体験を話すこともある。あまりストレスをためさせず、練習に集中させたい」
 普段の会話や行動から性格をつかみ、一人ひとりに合わせて接し方や言葉がけも工夫する。「例えば、失敗が続いている子には、いいところをどんどんアピールさせて気持ちを盛り上げる。逆に上がり調子の子は油断させないようにちょっと締めて。かける言葉一つで生徒が変身する。その成長ぶりにはいつも驚かされます」と目を輝かせる。
 生徒の気持ちに寄り添い、モチベーションと可能性を引き上げる。

 現役時代はジャーク、スナッチ(※)合わせて200キロ近くを挙げ、97年から2002年まで日本記録を保持。オリンピックや世界選手権にも出場し、世界を舞台に戦った。「練習を重ねて1キロ、2キロと自己ベストを更新する喜びは今も一緒。生徒を見てると、自分もやりたくなるんですよ」
 九州、全国を目指しひたむきに練習する教え子の姿が、競技者魂に火をつけた。35歳で競技復帰を決め、今年7月には大会に出場。「現役時代のスピードは感覚で覚えているけど、まだ体が思うように動かなくて」と苦笑するが、年を重ねて精神面は強くなったと感じている。「気持ちの切り替えが早くなった。今はトータル140キロほどだけど、計画的に練習すればあと20キロはいける」と自信をのぞかせた。
 試合では、教え子にセコンド(競技補助)を依頼。「楽しんでやってくれます。試合の後、何が悪かったか聞くと、真剣にアドバイスをくれる。そんな経験も彼らの自信につながると思う」と目を細める。
 来月、第1回八重瀬町長杯争奪美ら島総体記念大会に出場。「生徒と競いながら挑戦できるのはうれしい。今、競技が本当に楽しくて、自分でどこまでできるのか楽しみ。おばあちゃんになってもバーベルを挙げて喜んでいそう」と笑う。
 やるからには記録も。「マスターズ選手権で、世界記録を狙いたい」。指導者として競技者として、今後の活躍から目が離せない。(比嘉千賀子)
 
 
ところで…+α
 「沖縄工業に赴任してからは、学校職員や父母会の協力を得て生徒たちを指導している。生徒のおかげで成長させられた」と平良さん。団体で移動しやすいよう、マイクロバスが運転できる免許も取得。「場所を変えるとキツイ練習でも楽しんでやれる」と学校外へ練習に連れ出したり、合宿を行ったりと大忙し。「大変だけど、指導者としては充実している。でも、家の仕事がなかなかできなくて…。夫や家族の協力があってこそ、感謝です」。家族の支えが未来のアスリートたちを育む。
 
 
P R O F I L E
たいら・まり
1975年生まれ、沖縄市出身。日本体育大学卒業後、自衛隊体育学校を経て、高校の保健体育教諭に。指導者として、2003年度全国インターハイ豊見城高等学校男子団体優勝、2010年度九州高等学校新人大会沖縄工業高等学校男子団体優勝など実績を重ねている。日本オリンピック委員会ウエイトリフティング強化コーチ、沖縄県ウエイトリフティング協会理事・沖縄県女子強化担当も務める。
 
 

週刊ほーむぷらざ トップへ



沖縄タイムス購読申し込み


(株)タイムス住宅新聞社 ・週刊「ほーむぷらざ」編集部
画像及び文章の無断転載・無断引用・販売などは固くお断りします。
Unauthorized redistrbution of my data is strictly prohibited