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オーケストラ
 
 
多彩な音色 美しく調和
 
 オーケストラ定番の名曲として思い浮かぶのは、「運命」の名で知られるベートーベンの「交響曲第5番」や、年の瀬のコンサート楽曲としてお馴染みの「交響曲第9」だろうか。今回は、さまざまな楽器が生み出す多彩な音色が、一糸乱れぬ美しい調和となって押し寄せるオーケストラの魅力にスポットを当てる。10月1日に行われた沖縄県立芸術大学音楽学部の公開講座「オーケストラセミナー」と、翌2日の「第17回オーケストラ定期演奏会」から、その楽しみ方をひもとく。
 
県立芸術大学音楽学部のオーケストラ定期演奏会では、在籍する学生にOB等も加わり、華麗な演奏で日ごろの成果を披露した=10月2日、沖縄市民会館
 
多種多様な楽器が奏でる大編成ならではの迫力
 
演奏の後、コンサートマスターを務めた沖縄県立芸術大学の学生、石原正樹さんと指揮者の外山雄三さんが握手を交わす。観客からは一層多くの拍手が湧き上がった
 指揮者のタクトの下、弦楽器、木管楽器、金管楽器、打楽器によって奏でられる多彩な音色と、完璧に統制されたシンフォニーの美しさ、そして大編成ならではの迫力。それがオーケストラの魅力だ。
 県立芸大音楽学部の「オーケストラセミナー」では、オーケストラの歴史や構成、楽器の特徴などを、専門の教授陣が分かりやすく解説したほか、今回の定期演奏会の指揮者の外山雄三さん(NHK交響楽団正指揮者)が指揮者の仕事について語った。
 オーケストラの要となる指揮者。時には100人以上の演奏家が集まることもあるオーケストラ全体を「客観的に見て、音量のバランス、音の硬さや柔らかさなどを調整し、まとめるのが指揮者の仕事」だと、外山さんはセミナーで語った。指揮者によって同じ曲でもまるで印象が変わるのがオーケストラの面白さだ。
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 演奏会では席に着いたら、プログラムに目を通すのがおすすめ。その日演奏される曲目やその解説が紹介されているので、一読しておくと、より演奏が楽しめる。
 開演のベルが響き、静まり返った聴衆は、オーケストラの音合わせに期待感を高める。1曲目のベルリオーズ「ローマの謝肉祭」は、きらめくような弦楽器の響きで始まり、華やかな金管楽器に続き、イングリッシュホルンがしっとりと歌い上げる。弾むような美しい音色は、やがて勇壮なクライマックスへと展開してゆく。目を閉じて心地よいシンフォニーに聞き入るもよし、指揮者のタクトに見とれるもよし、思いのままに楽しめばいい。
 続く2曲目はプーランクの「2台のピアノと管弦楽のための協奏曲」。ソリストの演奏を支える協奏曲は、オーケストラの腕の見せどころだ。あでやかなドレスに身を包んだ2人のピアニストが登場し、快いテンポでメロディーが走り出す。プーランクならではの近代的で前衛的な旋律やファンタジックな和音が、聴衆を魅了する。
 3曲目は、ベートーベンの交響曲第5番「運命」。あまりにも有名な「ダダダダーン」という第1楽章の始まりは、意外なほどアップテンポで、1回目の旋律が終わるやいなや、畳み込むように2回目の旋律の波に飲み込まれる。始まりを快速で表現する指揮者もいれば、ゆっくりと強調する指揮者もいるのだという。ベートーベンらしい重厚なシンフォニーが湧き上がり、押し寄せて、やがて終盤を迎える。
 予定の3曲終了後も、鳴り止まぬ観衆の拍手に応え、指揮者は再び壇上へ。アンコールは外山さん自身が作曲した「管弦楽のためのラプソディ」。拍子木や鈴、木魚など、オーケストラでは珍しい和楽器をふんだんに使い、「あんたがたどこさ」「信濃追分」「ソーラン節」など日本で歌い継がれてきた民謡で構成された組曲で、日本の伝統と文化を世界へ伝える名曲として知られている。「八木節」のおなじみの旋律が場内を盛り上げ、聴衆の心に明るい余韻を残し、コンサートは幕を閉じた。
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 オーケストラを楽しむのに理屈も道具もいらない。ただ、個々の楽器の音色やその特徴を知っていたら、オーケストラの演奏をより楽しむことができるし、耳になじみのある曲なら、よりリラックスして楽しめる。「作曲者や曲名を知らなくても、聴いてみて面白かったか退屈だったか、自分なりの感覚で感じていただければいいと思う。舞台の音に、耳を澄ませて聴いていただけるととてもうれしい」と外山さん。
 あるときは降りしきる豪雨のような激しさで、あるときはため息さえ聞こえるほどの静けさで、聴衆の心を引きつけるオーケストラ。まずは一度、演奏会へ足を運び、圧倒されるほどの美しい音を堪能してみてほしい。
心地よいシンフォニーに聴き入るぜいたく
 
Close up
沖縄県立芸術大学「オーケストラセミナー」
NHK交響楽団正指揮者の外山雄三さん(右)と総合司会の小沢麻由子講師。セミナーの中で外山さんは指揮者の仕事、音楽を聴くことについて語った
魅力を分かりやすく解説
 「オーケストラセミナー」は、地域貢献、情操教育の一環として、沖縄県立芸術大学音楽学部が毎年1回開催している公開講座。オーケストラの歴史や構成、使用される楽器やその特徴、指揮者の役割などが学べ、大人から子どもまで、誰でも参加できる。
楽器の説明や聞き比べも
 まずは、オーケストラの基礎知識のレクチャー。弦楽器、木管楽器、金管楽器、打楽器、それぞれの特徴について、器楽専攻の庭野隆之教授、高橋眞知子教授、宇佐美俊剛准教授、定成庸司教授が説明、学生とOBが各楽器を奏で、音色を披露した。
 「ほら、比べてみると違いが分かるでしょう?」。バイオリンとビオラを並べて大きさの違いを確認(上左写真)した後、実際にそれぞれの音色も聞き比べてみることで、その差を体感できた。使われる楽器の歴史や特徴を知り、その音色を聞いておくと、オーケストラの演奏がより楽しめるようになる。
緊迫の公開リハーサル
▲真剣なリハーサルの様子に、セミナーに参加した聴衆も思わず息をのむ
 後半は、オーケストラリハーサルの見学。本番直前の緊張感あふれるリハーサルを見られるのは、非常に貴重なチャンスだ。
 今回の定期演奏会で指揮をとるNHK交響楽団正指揮者の外山雄三さんは、国内の数々のオーケストラの音楽監督など要職を歴任するほか、作曲家としても活躍。その作品はオペラや交響曲、室内楽曲、歌曲、合唱曲まで多岐にわたる。
 張りつめた空気の中、外山さんの厳しい声が響く。「そのHの音、もっと正確に」「う〜ん、ピッチがあってないな。もう一回!」「そこは急がないで。6小節前からもう一度」「木管楽器のピアノ(弱音)、もう少し鳴らすことは可能ですか? 柔らかく、たっぷりと」。具体的で明確な指示のもと、本番へ向けてオーケストラの音が研ぎ澄まされてゆく。
What's
オーケストラの由来と構成
 オーケストラの語源は「オルヒストラ」というギリシア語。古代ギリシアの円形劇場では、舞台とせり上がった観客席の間に半円形の踊り場のような場所があり、そこのことを指す単語だったそう。編成の大規模なものは「交響楽団」、小規模で弦楽器中心のものは「室内管弦楽団」と呼ばれる。
 その歴史は古く、「17世紀のバロック時代には弦楽器を主体としていたが、その後、木管楽器や打楽器、ソロを奏でるソリストなども加わるようになり、時代とともに演奏する場所がコンサートホールなどのように大きくなるに従って、その規模(編成)も大きくなっていったという。楽曲には、オーケストラだけで演奏する「交響曲」、オーケストラにソリストが加わる「協奏曲(コンチェルト)」などがある。
 オーケストラを大きく分けると、以下の4パートから編成される。
【弦楽器】
  弦の振動によって音を出す楽器の総称。弓でひく弦楽器の発祥はアジア。バイオリン、ビオラ、チェロ、コントラバスと、楽器のサイズが大きくなるほど、音は低くなる。
【金管楽器】
  トランペット、トロンボーン、チューバ、ホルンなど、真ちゅう製またはその合金で作られたラッパの仲間。息を吹き込み、唇の振動を管の中に伝えて音を鳴らす。
【木管楽器】
  笛の仲間と考えると分かりやすいのが木管楽器。楽曲の中で、フルートは小鳥、オーボエはアヒル、クラリネットは猫、ファゴットはおじいさんにたとえられることも。
【打楽器】
  手やバチなどで打ったり、叩くことで音を出す楽器。太鼓やティンパニーなどの「膜鳴楽器」と、シンバルやトライアングルといった楽器自体が振動する「体鳴楽器」に分類される。
manner
鑑賞時の注意点
ロビーに花預かり所が設けられる場合もある
◆開演前には携帯電話の電源をOFFに
◆撮影・録音・録画はもちろん厳禁
◆開演に遅れたときは、曲と曲の合間に席へ案内される場合も多いため、勝手にホールの扉から入らず、必ず会場スタッフに声をかけて
◆花束やプレゼントを渡したいときは、開演前に会場スタッフへ確認を。大ホールの場合、開演前にクロークへ預けるケースが多い。会場に持ち込むと、ラッピングのカサカサという音が周囲の方の迷惑になる場合もあるので要注意
◆休憩時間のトイレは込み合うことが多いので、後半の開演に遅れないように魅力を分かりやすく解説
information | 公演情報
◆沖縄県立芸術大学音楽学部
(1)第25回学内演奏会「大学院生によるコンチェルト氈v
   日時/12月17日(土)14:30開演

(2)第27回学内演奏会「大学院生によるコンチェルト」
   日時/1月22日(日)14:30開演 いずれも、入場無料
   場所/県立芸術大学奏楽堂ホール

(3)平成23年度沖縄平和芸術祭「平和音楽祭」洋楽演奏会
   日時/12月23日(金)19:00〜20:30
   内容/「クリスマスコンサートin摩文仁」
      〜天空に架かるオーケストラの調べ(沖縄県立芸術大学オーケストラ有志による演奏)
   入場料/高校生以上200円、中学生以下無料
   場所/糸満市観光農園 野外ステージ

   上記についての問い合わせ先/
   県立芸術大学音楽学部器楽専攻
   電話:098(882)5089 (平日10:00〜18:00)

◆うるま市ジュニアオーケストラ

 「クリスマスコンサート」
 日時/12月25日(日)14:00〜15:30
 場所/うるま市健康福祉センター「うるみん」1階ロビー(入場無料)
 内容/ジュニアオーケストラと少年少女合唱団による演奏、合奏
 問い合わせ先/NPO法人おきなわ文化ネット 電話:098(982)6788(知念)
 
取材/堀 基子(ライター)
 
 

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(株)タイムス住宅新聞社 ・週刊「ほーむぷらざ」編集部
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