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 「亜健康」とは近年、中国で話題となっている言葉だ。病気と診断されたわけではないけれど、「疲れが取れない」「肩こりがひどい」など、なんとなく感じる体の不調。やはら万国クリニック未病・亜健康医学センター長の柯彬(かひん)氏は、「そのような状態を『亜健康』と定義し、中国では対策も進んでいます」と説明する。従来知られている、「未病」の定義とは少し違う、「亜健康」の現状と中医学的な対処法について聞いた。
 
ヘルスケア
 
 
 
あけんこう
 
中医学的 脱・ 亜健康 の知恵
 
脱・亜健康3つのポイント

 1.己の状態に目を向ける
 2.体の負担にならない程度の運動を
 3.中医学も参考に、自分にあった食養生を
 
疲れ、頭痛、イライラ 慢性的なら疑おう
 病院で検査しても異常はない。しかし、なんだか不快な症状がある。「その状態を『亜健康』と言います。病気の手前の状態を一般的に『未病』と言いますが、その中でも心や体に自覚症状が表れている状態を指します」と定義を語る(右表参照)。
 自覚症状は、全身の倦怠(けんたい)感、頭痛、視力の衰え、目の痛み、めまい、立ちくらみ、息切れ、鼻づまり、耳鳴り、肩こり、寝つきの悪さ、手足の冷え、便秘などの身体的症状だけでなく、感情の起伏が激しい、イライラ、怒りっぽい、クヨクヨする、マイナス思考などの心理的症状も入る。
 「その状態が、休んでも治らないあるいは慢性的に3カ月以上続いているのであれば亜健康状態であると言えるでしょう」と柯彬氏。現代人の多くが当たり前に感じているであろう自覚症状。「中国では、人口の15%が健康、15%が病気、残りの70%は亜健康に属するとの報告もあります。日本でもこれと同等、あるいはそれ以上の人が亜健康の状態にあるかもしれません」と警鐘を鳴らす。
 亜健康のうちに対策をすれば、病気になってからよりも楽に、短時間で健康を取り戻すことができる。症状があることを「当たり前」「体質」だと軽く考えず、「己の状態に目を向けることが大切です」。
 まずは右表で自分の亜健康度をチェック。会社勤めをしている人を想定した質問が多いが、自分の環境に当てはまるように読み変えて考えて。
 
生活習慣の乱れ原因 己に合った解消法を

 亜健康の一番の原因は、「生活習慣の乱れ」と柯彬氏。遅い時間から食事を食べ過ぎたり、お酒を飲み過ぎたり、運動不足、過労…。そんな乱れが肉体、精神にストレスとしてかかることが引き金となる。とはいえ、現代社会ではストレスの元を取り除くのは難しい。「大事なのは、自分の状態を把握すること。その上で、ストレスを避けるのではなく自分にあった解決法を見つけましょう」と語る。 運動もストレス発散に良いが、「疲れた体で激しい運動をするのはかえってストレスになってしまいます。私は、ゆっくりとした動きで呼吸を意識できる太極拳を実践しています。量をこなすことではなく、長く続けることが大事」とアドバイスする。
 ほかにも、緑の多いところを散歩したり、深呼吸をしたり、ツボ押し(下図参照)も手軽にできる解消法の1つだ。

ストレス軽減に役立つツボ
【合谷(こうこく)】手の甲の親指と人差し指の骨が交差する根元にある。ストレスや肩こり、偏頭痛などに効く。気持ちよい痛みを感じる程度に親指で押して。
【手心(しゅしん)】イライラや緊張に効く。手のひらの中央のくぼんでいるところを、親指でグリグリと円を描くように刺激しよう。
 
五行相関図
中医学的な五臓の分類
肝… 肝臓の機能のほか、自律神経に関わる働き、血液を貯蔵する働きも含まれる。
心… 心臓の機能のほか、記憶や知覚、意識などすべての精神活動を司る。
脾… 脾臓(ひぞう)というよりは、各消化器官やすい臓にあたるもの。
肺… 肺の機能のほか、呼吸器全体、大腸の機能や水分代謝にかかわる働きも含む。
腎… 腎臓の機能のほか、副腎や生殖器など、生殖や成長、老化にかかわる働きも含む。
※1 五味の鹹とは、塩気のものそれぞれ具体的な食材は
酸… 梅、さんざし、アンズ、レモン、酢、リンゴ、みかんなど
苦… ゴーヤー、レタス、らっきょう、竹の子、春菊、茶葉など
甘… ニンジン、イモ類、肉類、卵、米、大麦、砂糖、ゴマなど
辛… ニラ、唐辛子、大根、タマネギ、ニンニク、ショウガ、ネギなど
鹹… 昆布、イカ、塩、しょうゆなど
 
味や臓器など5分類 食や不調整える目安
 さらに、柯彬氏は、中医学的な養生法も説明する。
 「中医学では、人の体や季節などを『木・火・土・金・水』の5つに分類し、互いを助けたり抑制していると考える『五行学説』という概念があります」と説明。難しく思えるが、例えば、木があることで火がよく燃えることから、木は火の働きを助ける。そして木は土の中で根をはり、土の活動が度を越さないように抑制する(上表参照)。
 感情や臓器もその5つの分類に属している。例えば、「イライラなど『怒』の感情は『木』に属し、同じく木に属している臓器、『肝』に悪影響を及ぼします。逆にいうと『肝』の働きを良くすることでイライラしにくくなります。『肝』が弱ったときは同じく木に属する『酸』味のものを適量取ったり、『肝』の働きを抑制する辛い物を避けるなど、食生活の目安にもなります。ただし酸味は『脾』の働きを抑制するので、気になる人は『甘』をプラスして」と解説する。
 「これらはあくまで目安。大切なのは自分に合った養生法を長く続けること。忙しい毎日かとは思いますが己の身体を、じっくり見つめなおしてみてください」と締めくくった。
 
亜健康度チェック!
【出展】柯彬・小谷章著「脱・亜健康宣言!」
1. 朝起きると、よく髪の毛が抜け落ちているのを見つける。
【5点】
2. 最近、うっぷんが溜まっていると感じている。窓の外を見ながら、ぼんやりとしていることが多い気がする。
【3点】
3. 昨日考えていたことを思い出せない、ということがよくある。 【10点】
4. 仕事場に向かうのが嫌だ(怖い)と思う。今の仕事にうんざりしている、と感じている。
【5点】
5. 上司や同僚と顔を合せるのが嫌だ、と思う
【5点】
6. 仕事の能率が上がらなくなってきている、上司が自分に対して、不満を感ている、と思う。
【5点】
7. 仕事を始めてから、一時間くらいしかたっていないのに、ひどく疲れを覚えたり、息苦しさを感じることがある。 【10点】
8. 仕事に対する気力が上がらない。思い当たる理由はないが、怒りっぽくなったり、無気力になっていることがある。
【5点】
9. 毎日の食事の量がとても少なくなっている、これまでなら、いつでもおいしいと思っていた好物も、味気なく感じてしまう。
【5点】
10. 早く家に帰りベッドに横たわりたいので、退社時間が待ち遠しい。
【5点】
11. ほかの人に比べて、静かな自然の中で休息したいという気持ちが強いと思う。都会の喧騒や汚染に対して非常に過敏である。
【5点】
12. 親しい友人との交際でも、以前のように楽しいと感じられない。自分から積極的に人と交際しようと思わなくなった。
【5点】
13. よく眠れない。眠っていても、いつも夢を見ている感じがする。睡眠の質が低下している。 【10点】
14. 体重が明らかに減ってきている。朝起きたばかりなのに、目のふちが落ちくぼんでいることがある。 【10点】
15. 春や秋にインフルエンザが流行すると、すぐ感染してしまう。
【5点】
16. 性欲を感じることがなくなった。不倫を疑われるほど、相手の要求に応じられない。
【5点】
合計点数が50点未満…とりあえず深刻な亜健康の状態ではないようです。しかし、本文中にあるような亜健康の症状がある場合は生活スタイルを見直しましょう。
合計点数が50点〜79点…典型的な亜健康の状態にあります。重大な病気にかかってしまう可能性は低くありませんので、運動と栄養のバランスを考えるなど、早急に生活スタイルを見直すべきでしょう。
計点数が80点以上…残念ながら、とても心配な状態にあります。病院へ行き、お医者さんに相談してください。特に心理的なバランスを欠いている可能性が高いので、病院に行けない場合はせめてゆっくりと静養するなどの措置が必要です。
 
「亜健康」もっと知りたいなら…
書 籍
「脱・亜健康宣言!」
 柯彬氏と小谷章氏の共著で出版されている「脱・亜健康宣言!」。亜健康とはなにか、その原因、亜健康を脱するための中医学的な食養生法について、ストレス解消の知恵などなど。体のことだけでなく、環境のことまで説明する中身の濃い1冊。中医学の考え方などは、図や表なども用いて書かれているので理解しやすい。脱・亜健康に役立つツボなどももっと詳しく書かれているので、気になる方はぜひ読んでみて。
書籍柯彬・小谷章著
筑波出版会(1260円)
講演会
「漢方の視点から、未病について考えよう」
 漢方医学の世界的な権威、袁世華(えん・せいか)氏を迎え1月29日(日)に、講演会が開催される。場所は那覇市上下水道局「みずプラッサ」。更年期諸症状の緩和、ストレスへの緩和、高血圧や肝臓病、胃腸の弱い人に向けた漢方治療について講演する。柯彬氏も亜健康と陰陽五行について話をする。袁世華氏による健康相談会もあるそうだ。
書籍柯彬・小谷章著
筑波出版会(1260円)
DATA
日時/1月29日(日)10時〜12時(袁世華氏による健康相談会は14時〜17時)
場所/みずプラッサ(那覇市おもろまち)  料金/前売り2000円(要予約)、当日2500円  申し込み/日中文化交流センター/電話:098(866)4988
 
沖縄でも受けられる!
亜健康人間ドック
 やはら万国クリニック・セントラル(那覇市)では、亜健康人間ドック(総合チェックで2万8888円)も実施している。「病気を見つけることよりも、病気に至る前の機能的な変化をチェックします」と柯彬氏。スーパー顕微鏡で血液の状態をチェックしたり、血液をもとに酸化ストレス・抗酸化力をチェック。自律神経のバランスやストレス耐性の評価、心理テストなどによって抑うつ状態なども分析する。心身の状態が数値で見えるから分かりやすい。チェックを受けた後は、データを総合分析して、食事や生活習慣などのアドバイスもしてくれるそう。病気とは診断されていないけれど、気になる症状がある方は一度チェックしてみてもいいかも。
DATA
やはら万国クリニック・セントラル 那覇市久茂地1−3−1
電話:098(943)1803 日曜休診(亜健康人間ドックは完全予約制)
 

教えてくれたのは
柯彬(かひん)

中国桂林生まれ。中国広西医学大学卒。東洋医学と西洋医学の両視点から亜健康を捉え、普及活動に従事。医学博士、中医学修士、やはら万国クリニック「未病・亜健康医学センター」センター長、日本亜健康研究所所長。やはら万国クリニック/電話:098(943)1778
 
記事取材・編集/東江菜穂
 

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