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Nさん宅
 
互いに尊重、助け合い
 
 
 添市の住宅街にあるNさん宅。実家の庭先に建てるにあたって建築士が提案したのは「互いの暮らしを尊重しながら助け合えるように」と、庭先で緩やかに親世帯とつながる住まいだ。室内は夫妻好みのナチュラルな色合いでまとめられ、明るくのびやかな印象。「何を飾っても映えるから、あれこれ思案中」と夫人も笑うように、暮らしの楽しみが広がっている。
 
 
 1階にあるリビングは、吹き抜けを介して2階の多目的室の気配が伝わる。室内は夫妻好みの明るくナチュラルな雰囲気で統一。ヌレエン脇から実家の庭へ行き来できる
(写真/高野生優・フォトアートたかの)
 
 
安心と伸び伸び両立
 
リビング正面は実家のある西側にあたるため、プライバシーの確保と西日よけを兼ねてあえて閉じた。テレビの背面には調湿効果のあるエコカラットを使用)
2階の多目的室。本棚やパソコンを置いて家族みんなで活用
 以前は近くのアパートに住んでいたが、実家の庭先にあった賃貸アパートが老朽化したのに伴い、そこを取り壊して家を建てることにしたNさん夫妻。
 「両親はスポーツクラブに行ったり夫婦で旅行を楽しんだりと元気で外出していることも多く、朝も早い。一方、私たちは子どもが部活で遅くなったり受験生がいたりと夜型。それぞれ気兼ねなく生活できて必要なときはいつでも声をかけられるようにしたかったんです」と夫人。
 プランは両親の薦めもあり、実家を設計した建築士に依頼。住まい造りにあたっては、あちこちの見学会場を訪ねイメージを膨らませていった。
多目的室も集いの場
 敷地は2方を道路に囲まれており、前面道路や裏手の駐車場とも高低差があったことから、敷地の形状を生かしたスキップフロアに。前面道路からそのまま乗り入れられる地階は駐車場とし、実家とつながる1階には吹き抜けのリビングと夫婦の寝室、中2階に水回り、2階には子ども部屋と多目的室を配置した。
 「駐車場や水回りへは半階分の移動で行き来できるから便利」と夫人。2階の多目的室は家族皆が使うスペースとして活用。「パソコンを置いて主人がインターネットをしたり、子どもたちが宿題をしたり」と家族のコミュニケーションにも一役買っているようだ。
 実家との関係も良好。おすそ分けをする際は、リビングに隣接するヌレエン脇から直接両親宅のリビングへ。アプローチからも実家の芝庭が見えるから、「気軽に行き来できるし、普段からお互いの様子が分かるのがいい」と満足げだ。
 「夫も私もインテリアが好きなので、休みのたびに出かけては飾りたいものを収集。次はコレと考えているのが楽しい」。今では愛犬モカちゃんも仲間入り。安心と伸び伸びの両立が心地良さにつながっている。
アプローチ。右手の門から実家へ直接行き来が可能
限られた敷地ながらスキップフロアで水回りも広々。右手奥は物干し場に
階段室も明るく広々。スキップフロアの採用で、各居室への移動をラクにし、気配も伝わる造りとなっている
 
Nさん宅の工夫
つながり意識 庭から行き来
 
親世帯の庭からNさん宅を見る。中央の木戸からNさん宅のアプローチへ、右手の砂利道からはNさん宅のリビングへ行き来が可能。視線が直接かみ合わないよう、Nさん宅の開口位置も工夫されている
 Nさん宅でポイントになっているのが、両親宅とのつながり方だ。
 アプローチから両親宅の庭が借景のように眺められる上、庭先から直接実家に行き来できるよう工夫。またリビングにある大開口の脇からも行き来できるようになっている。これにより、朝は庭の手入れから始めるという両親と出勤時に声を掛け合うなどして普段から互いの様子が分かるだけでなく、用事がある際もわざわざ玄関を介さずとも実家と行き来できる気軽さがある。
 一方で、Nさん宅のリビングは実家のある西側に配置しつつも開口部は南に設けることで、各世帯のプライバシーは確保。近からず遠からずの空間構成が、快適なつながりを生み出した。
 
内から外まで

敷地を有効活用 スキップフロア

 
外観。正面がNさん宅で、木々に覆われた右手が両親宅。前面道路との高低差を利用してスキップフロアとし、1階は親世帯と同じ高さに配置
 高低差のある敷地の場合、段差をそのまま活用する手段として有効なのが、半階部分にもフロアを設けるスキップフロアだ。
 Nさん宅では前面道路から1メートル30センチ、南側の隣地はさらに80センチ高くなっていたことから、前面道路からつながるスペースを地階として駐車場に、その上を中2階として水回りスペースを設けられるよう、スキップフロアを採用した。
 メリットは3つ。まず予算面。切り土や盛り土して使うとなると、その分コストもかさみがちだが、高低差をそのまま生かせばその分の予算を抑えることが可能だ。
 2つ目は限られた敷地内でも各居室を広く取れる点。「ワンフロアにすべてを配置しようとすると、どうしてもそれぞれのスペースが狭くなってしまうが、Nさん宅ではスキップフロアにすることでリビングも水回りもある程度の広さを確保することができた」と設計者の久高さん。
 また、1階のLDKと中2階の水回りとの行き来をラクにし家事をスムーズにするだけでなく、各居室と水回り、駐車場への行き来も半階分ですむなど「動線を短くできる」効果もある。
 ほかにも、狭小地で必要なスペースを確保したり、密集地では階段室を利用して光や風を取り込むのにも有効な手法となっている。
 
山城東雄さんと久高多美子さんに聞く設計のポイント
親子2代をサポート
 Nさん一家とは、Nさんがまだ子どもだった27、8年前に、Nさんのお父さんが実家を建てた時からのお付き合い。実家の庭先にあった賃貸アパートが老朽化したため、取り壊してNさん宅を建てる事になりました。
 設計にあたって大事にしたのは、両世帯のつながり。近からず遠からずの空間構成を意識したことが安心感や快適さにつながったと感じています。
 今回、併せてご実家の床も塗り替えさせていただきましたが、ご両親が丹精込めて育てた庭木が住まいを包み込み、味わいが増しているのを拝見してうれしくなりました。
 20年、30年と住まいを見守り、必要な手を施すのも我々の役目。Nさんとも長いお付き合いができれば、うれしく思います。
 
建築データ

家族構成:夫婦、子ども2人
敷地面積:294.81平方メートル(約89.1坪)
地階床面積:10.07平方メートル(約3.05坪)
1階+中2階床面積:89.22平方メートル(約26.99坪)
2階床面積:54.48平方メートル(約16.48坪)
建ぺい率:40.21%(許容60%)
容積率:52.16%(許容200%)

用途地域:第1種住居専用地域
躯体構造:鉄筋コンクリート造 
設  計:(株)東設計工房 山城東雄
      久高多美子 仲島こずえ
構 造 設 計:(株)友知設計 友知善路
施  工:(株)IMI CORPORATION 
電気・水道:(株)共立技研 源河武司
(株)東設計工房/電話:098・877・1962
http://azumas.com/
 
取材記事・編集/徳 正美
 

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