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Yさん宅

 
中古改修し内外心地良く
 
 アプローチから玄関まで緑をはわせたり、庭に小さな畑スペースを設けたりと、緑の彩り豊かなYさん宅。玄関横にはワイヤーを張って緑のヒンプンで目隠ししつつ、上部にも伸ばして西日よけに。芝庭、タイル張りのスペースどちらも使い勝手はいい
(写真/高野生優・フォトアートたかの)
 
 子どもの誕生を機に、マイホームを取得したYさん(34)夫妻。「予算や環境負荷に考慮し、新築より中古住宅で」と考えた夫婦は、築34年になる平屋建ての中古住宅を購入。傷んでいた躯体の補修と必要最小限のリフォームで、内と外を自由に行き来できる明るいわが家を実現させた。庭遊びも食事も家族みんなで。気持ち良く過ごせる場所がいっぱいの住まいだ。
 
 
土間玄関でLDK広々
 
木を基調にした温かみのあるLDK。「キッチンから子どもの様子が見渡せるので安心」と夫人。リビングにはあえてソファは置かずに広々シンプルに
 
4平方メートルで便利に
 道路から2メートル上がった敷地に、庭とL字型に配置された平屋建ての建物からなるYさん宅。玄関の土間やデッキスペースを介し、主要な居室と庭とがオープンにつながり、昔ながらのウチナー民家を思わせる住まいだ。
 開放感をもたらす核となっているのが、4平方メートルの玄関土間。以前あった軒を生かして造ったスペース。「建築士からの提案で、思いのほか使いやすい。庭との行き来がスムーズで子どもの遊び場になったり、暑い日には強い日差しを遮る緩衝帯、雨の日は傘をさしたまま家に入れるし、台風時には鉢植えの避難所になったりします。大きな引き戸があるので、必要に応じてLDKと仕切れるのも便利」と夫妻。 既に増築を数回重ねた建物だったため、建築士には内部の細かい補修や改修の前に、まずは躯体の安全性をきちんと確保することを希望。大きく手を加えるのは、水回りと生活の中心となるLDKにとどめた。「夏場できるだけクーラーを使わず、家事や入浴といった生活機能を使いやすくしてもらうことを重視しました」。キッチンは、子どもの様子が見渡せるよう対面式にし、背後の壁に収納を造り付け一部に引き出し式カウンター、壁の一部にも折れ式のカウンター板を造ってもらうなどの工夫で、すっきりを実現した。
 
▲LDKと土間の間には大きな引き戸を1枚設置。必要に応じて広さを調整できる   ▲内と外とをつなぐ土間玄関。雨の日には傘をさしたまま出入りでき、半戸外の使いやすさ
天井裏に劣化
 中古物件選びでは、建物の状態が気になるところ。Yさん夫妻は物件選びの際、建物にひび割れや雨漏りの箇所がないか、排水がきちんとできるかなども念入りにチェック。1年がかりで数十件回った後、庭付きで部屋も広く、好印象だった現在の物件に決めた。
 ところが、LDK部分の天井を剥がしてみたところ、外部庇よりも傷みがひどい状態が発覚。「中古は中を開けてみないと分からないなぁと実感した。長く住みたいので、傷んだ部分はしっかり修復してもらうようお願いしました」。念のため他の天井も確認したところ、大掛かりな改修は一部で済んだという。「すべて『検診』してもらったので安心。一番は安全性ですからね」
 また、段差があって危なかった庭も一部にタイルを張って芝生部分とひと続きにして広々使えるようにしたほか、畑やパーゴラなどのベースを整えてもらった。
 住み始めて1年半。ブーゲンビレアやパッションフルーツなどの植物が彩る庭や空、木陰を身近に、気持ちにゆとりも生まれたよう。
 
▲既存の和室からも、土間の玄関を介して庭までの流れもスムーズ   ▲リフォーム前のLDK.右側は腰窓で、庭への行き来も不便
 
Yさん宅の工夫
庭生かし 生活に幅
 
▲リフォーム後の庭。家族みんなの遊び場。子どもたちは三輪車に乗ったり、パーゴラに掛けたブランコで遊んだり。芝生が室内への反射熱を抑えるほか、柔らかいクッションにも
 環境保全に関わる仕事柄、植栽を生かしたエコな暮らしへの意識も高いYさん夫妻にとって、庭の使い勝手の改善も住み心地を高めるポイントだった。リフォーム時にパーゴラやタイル敷きのテラスを造るなど外部空間の整備をしてもらった後、こつこつと好きな植物を増やしてきた。
 西側に庭があるため、昨夏には、景観づくりと西日・暑さ対策を兼ね、パーゴラからネットを大きく張って植栽をはわせ、大きな日陰をつくっていたという。「庭と行き来しやすくなって外が近いし、家の中からも季節が感じられるのがアパート暮らしと大きく違う。夏場は、木漏れ日の下でプール遊びをしたり、夕涼みをしたり涼しく過ごせます」と開放感たっぷりの暮らしを楽しんでいる様子。残念なことに昨年夏の台風の影響で、取材時にはネットが取り外されていたが、様子を見ながらあれこれ試してみたいと関心は尽きない。
 玄関回りは、ブーゲンビレアやユウナ、ハイビスカスで華やかに彩り、芝庭の横には家庭菜園も。月日を重ねるごとに緑がなじみ、味わいも増しそうだ。
 
左右の写真ともにリフォーム前の玄関から庭。玄関アプローチから玄関まで離れている上、室内と庭との間や芝庭とコンクリート面の間にも段差があって使いにくそう
※リフォーム前の写真はすべて建築アトリエトレッペン提供
 
 
建築アトリエトレッペンに聞く設計のポイント
優先絞り込み“快築”
 最初にYさん宅の建物を見て、気になったのが玄関の位置。建物の奥に玄関があり道路から玄関先まで7メートル余あるため、玄関に行くまで室内に居る人と目が合ってしまうという点でした。さらに庭との行き来もしづらい状態。そこで、階段を上がってなるべく近距離に玄関を移動。さらに既存の軒スペースを使って玄関の土間を伸ばし、外と内とを結び、軒先にアルミサッシを設置して、使い勝手を高めながらコストも抑えるよう工夫しました。
 今回、手が掛かったのが天井内の劣化で、傷みが出やすい外部庇よりもひどい状態でした。ばく裂したスラブの一部を撤去し、鉄筋の補強を行った後、コンクリートを流し込みし直すといった大掛かりな工事になりましたが、建物は安全性の確保が最も重要。リフォームの際は、まずは躯体の安全性、その次に不便な箇所の解消を。優先順位を絞り込み、内外両方から検討していくことが“快築”につながります。メンテナンスの計画も併せて検討すると、建物の耐久性も高めていけると思います。
 
建築データ

家 族 構 成:夫婦、子ども2人
敷 地 面 積:313平方メートル(約95坪)
1 階 床 面 積 :150平方メートル(約45坪)
(改修施工面積:65平方メートル/20坪)
建 ぺ い 率:48%(許容50%)
容積率:48%(許容100%)
用 途 地 域:第1種低層地域
躯 体 構 造:鉄筋コンクリート造)

設     計:建築アトリエトレッペン
        照屋寛公 橘木純次(スタッフ)
施     工:明興 伊佐義信
躯 体 補 修:オキナワ技研 多和田真也
電     気:山川電気 山川輝明
水     道:春水工業 金城 賢
キ ッ チ ン:ファイン 大城厚子
造     園:末吉園 普天間直利
建築アトリエトレッペン/電話:098・859・0710
http://www.treppen.jp
 
取材記事・編集/岸本貴子
 

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