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週刊タイムス住宅新聞 1555号 2015年10月23日発行

 タイムス住宅新聞創刊30周年記念セミナー

幸せつなぐ相続を!

早めの計画・対策でより良い選択

 本紙創刊30周年を記念して9月12日、那覇市の沖縄ガス本社で相続セミナーを開催した。幸せ相続コンサルタントの亀島淳一氏((株)シナジープラス代表)と、(有)とまとハウジング代表の川端ゆかり氏が、講演&トークセッションを行った。講演内容を踏まえ相続の基本的な考え方、注意点などポイントをまとめた。

 

 税金・民法・不動産をトータルで検討 

 

不動産が難しいワケ

 

 たとえ相続税を払わなくていい不動産の場合でも、残された親族で遺産を分けなけ ればならない。不動産は預貯金などと違いその評価が難しい上、単純に分けることができないため、手続きが複雑になるのが難点だ。
 特に築年数がたった不動産を所有している、または子どもが遠方にいて将来は空き家になる可能性が高い場合など、どんな対策や活用法が適切か、さまざまな要素の検討が必要になる。
 亀島さんは「相続は法律(民法)や税金、不動産などトータルで検討することが大切。総合的に判断してどれか一方が欠けてもトラブルになる可能性があります」と注意を促す。
 例えば、道路を挟んで間口・奥行き、面積もまったく同じ二つの土地で、相続税上の評価(路線価を元に計算される)が同じでも、同じ価値があるとは言い切れない。相続税上の評価が同じでも、不動産としての市場価値は建築基準法の用途の違いなど、諸条件で大きく異なってくるからだ。
 川端さんは「特に不動産は相続税評価と市場価値の違いを正確に把握しておかないと、トラブルや思わぬ損を被る場合も。実際、相続でもめるほとんどが、分け方による不公平感が原因になっています」と指摘する。

期限内に申告・納税

 相続が発生すると、右図「相続手続きの流れ」のように、期限内に申告・納税が必要になる。「相続手続きにはタイムリミットがあるため、早めに対策をしておくに越したことはない」と川端さん。手続きのうち、相続人の確定や相続財産の内容を明確にするのにも想定外に労を要することが多いからだ。
 「法定相続人が大勢だったり、離婚などで家庭事情が複雑だったりすると、想定外の法定相続人が出てきて遺産分割協議までに手間がかかります」(川端氏)。
さらに分割協議では相続人全員の同意が必要。疎遠な相続人とのやり取りがあるなら、折り合いをつけるまでに時間もかかる。
 また、川端さんいわく、相続手続きでよく見られるのが、分割協議でのトラブル。「例えば『親の介護や仏壇行事をしてきたのに、何も協力しない兄弟と同じ取り分は納得できない』など、感情問題により分割協議が進まないケースも少なくない」という。
 遺産分割が最終的に確定しない限り、不動産の分筆・売買、銀行の預貯金を引き出すのにも法定相続人全員の承認文書が必要になるなど、面倒な事態が続く。

 

 財産価値の不公平感なくし円滑に 

 

正しく評価・分析を

 

 スムーズに相続を進めるには、何から始めればよいか。亀島さんが提案するのが、次の方法だ。
 (1)相続財産を「相続税法上の評価」「市場評価」「収益評価」の三つの視点で分析・把握する。その上で、「守る」「備える」「整理する」「活用する」の四つの評価に分ける=右図
 (2)分け方を考え、公正証書遺言で記録に残す。
 (3)相続税がかかるなら納税資金計画を立て、次に節税計画。
 (4)収益改善計画や不動産有効活用を考える。
 「正しく評価・分析することで一つ一つ内容が明確になると問題点もクリアに。解決策が検討しやすくなります」と亀島さん。
 これらの相続対策を早めに進めることで、「より良い相続の継承につながる」という。例えば相続税は10カ月以内に申告・納付しなければならないが、事前に対策をしておかないと「税金の納付のため、慌てて現金化しやすい価値のある財産から手放してしまうケースも少なくない」(亀島さん)。さらに、分け方が決まらないと優遇措置が受けられないといったことも。
 「早めに評価・分析することで、すべて売却か建て替えにするのではなく、一部を売却し税金に充て、残りは活用するといった方法も検討できます」と川端さん。
 どの方法が良いかはケースごとに異なる。亀島さんは「プロに相談して早めに情報の整理を。時間にゆとりがあれば、民事信託=左参照=のような有益な選択肢も広がります」とアドバイスする。
 早めの相続対策で安心、幸せになるための相続につなげよう。

 

 「孫の代まで家族の幸せ考えて」トークセッションより

 講演に続き行われたトークセッションでは、亀島氏と川端氏の二氏と本紙編集部の徳正美部長を交え、相続について親と子各々の立場で心得ておきたいことを語り合った。

 

 相続の話をする際、自分の思いを子どもに伝えるには?
亀島 面と向かって話すのを恥ずかしがる人も多いですが、相続では心理的な要素が大きく、コミュニケーションが大切。相手の立場も考えて歩み寄ってほしい。
川端 もめる時ってボタンの掛け違いになっていることが多いですよね。感情的になりそうな場合、私たちのような専門家が間に入ると話がまとまりやすい。
 兄弟がたくさんいるともめそうと心配する声があります。
亀島 不動産は分けにくいので難しい部分がありますからね。今、注目されている選択肢の一つに「民事信託」があります。これは財産の一本化ができるのが大きな利点。不動産から得られる収益を数人の兄弟で均等に分けることも可能です。認知症対策などにも有効ですよ。
川端 民事信託は収益が生まれるものが前提なので、アパートのオーナーや軍用地などにも有効。親族が多い沖縄に合うと思う。
 相続の話は子どもからは切り出しにくい。良い方法は?
亀島 自分の立場だけで話すより、孫の代まで家族が末永く仲良くするためと考えて話すと良いと思います。「もめるはずよ」など不安をあおる言い方はNG。
川端 互いを思いやるスタンスが大事。相続って手間がかかりますが、放っておくとより面倒になりますから、少しずつでも動いた方がいい。「相続に詳しい人がいるから話を聞きにいかない?」と声掛けするのも一案です。
亀島 先延ばししない気持ちと、一歩踏み出して専門家に聞いてみることも大事。少し動けば、解決することもありますからね。

 

 講 師 

亀島淳一氏( (株)シナジープラス代表 )

  かめしま・じゅんいち
幸せ相続計画コンサルタント。相続コンサルティングマスター、上級相続カウンセラー、上級相続アドバイザーの資格を持つ。特定の分野に偏らないスタイルが持ち味
(株)シナジープラス
電話 098(963)9266
http://www.synergy-room.com/
 

川端ゆかり氏((有)とまとハウジング代表 )

  かわばた・ゆかり
不動産売買をトータルサポートするとまとハウジング代表。相続コンサルティングマスター、任意売却エージェント、競売不動産取扱主任者
(有)とまとハウジング
電話 098(876)7380
http://www.tomato-okinawa.com
 
取材記事・編集/岸本貴子

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